2試合連続無得点だったチームとは思えない千葉のゴールラッシュだった。3分と早い時間に、練習していた形で椿直起のクロスから小森飛絢が先制点を奪ったのは非常に大きかった。先制点で自分たちのスタイルに改めて確信を抱いた千葉の選手たちは、小林慶行監督が試合のポイントにあげていたセカンドボールの回収率で栃木を上回った。苦境から脱するには自分たちが何とかするしかない。その想いの強さがスカウティングによる分析で伝えられた栃木のウィークポイントを確実に突き、守備から攻撃に転じた時に迷いなく勇気を持って攻める動きを生み出した。栃木がいつものように5バックでスペースを消す前に、縦に速くゴール前へ行って、栃木が守備陣形を整えてきたら、揺さぶりをかけて隙を作らせる。得点を重ねていっても気を緩めることなく、『際』の勝負でしっかりと競り勝ち、もしもプレスをかわされても最後のところで体を張る。栃木戦でやるべきことを攻守でやりきったからこその8-0の大勝し、第3節・群馬戦以来の勝利を獲得した。
今節ではキックオフ直前、古河電工サッカー部時代から千葉のファンであることを公言されていた寺田農氏が今年の3月4日に亡くなられたことを受け、その後の試合開催時には喪章をつけてプレーしていたのだが、発表後の初のホームゲームということで黙祷が行なわれた。寺田氏と直接お話しする機会には恵まれなかったが、筆者は少なくとも1回は、市原臨海競技場で寺田氏の姿をお見かけしたことがある。千葉のJ1昇格を見ることなく亡くなられたのはご無念だったと思うが、今節の大勝で少しでも笑顔になられればと思う。
また、こちらは完全に余談なのだが、今節の第4審判の瀬田貴仁さんは筆者が大学サッカーを取材していた時、選手として確か2回くらい試合後にお話を聞かせていただいた人だった。大学サッカーがまだ今ほど多くのメディアに取り上げられていない頃からしばらくの間、取材してきた者としては、取材していた選手が少しでも長く現役でプレーされていることに勇気をいただく。また、現役引退後、サッカー関連であっても、また、サッカー関連以外でもお仕事に励まれていることを見聞きしたり、偶然にでもお会いできたりすることがあると嬉しくなるし、自分も精一杯頑張らなくてはと気が引き締まる。とはいえ、ここ数年、読者の皆様に満足していただけるような【ジェフ便り】となっていないことは非常に心苦しい。そんな中、ソニー仙台在籍時にもプレーを見たことがあった瀬田さんの姿を久しぶりに見て、この日は気候的には寒かったのだが、心が温かくなった。
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