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【天皇杯3回戦:神戸vs千葉】レポート:前半の前への推進力は好材料も変わった流れを取り戻せず、ミス絡みの連続失点で惨敗

【天皇杯3回戦:神戸vs千葉】プレビュー:J1昇格争いにつながる収穫を得るため、粘り強く体を張ってJ1の神戸に勝ちきりたい

2018年07月10日 19:23 by akanuma_keiko
2018年07月10日 19:23 by akanuma_keiko

6月6日に開催された天皇杯2回戦・ラインメール青森戦は2-2(PK戦5-4)という結果で、3回戦進出を果たした千葉。その青森戦では、J2リーグ戦でコンスタントにスタメン出場している選手の多くが欠場もしくはベンチスタートとなる中、ホルヘ サリーナスのクロスから指宿洋史がヘディングシュートを決め、為田大貴のクロスを青森のGKが弾いたこぼれ球をすかさず交代出場の清武功暉が拾ってシュートを決めていた。しかし、この試合で延長戦も含めて千葉が放ったシュートは25本。千葉がいかに決定力不足なのかを露呈した一戦となったが、その後のJ2リーグ戦は2分3敗。先制しながらも追加点が奪えなかったり、2点リードから2-4とひっくり返されて敗れた第20節・松本戦のように相手に大きなダメージを与える『3点目』と取りきれなかったりと、自分たちが主導権を握った時間帯に得点機を作りながらも点を奪いきれないのが目についた。

だが、何よりも問題なのは粘り強さや集中力を欠いてしまう守備だ。攻めきれずにカウンター攻撃を受けた場面もあったにしても、練習から素早い攻守の切り替えを意識しているはずなのに、リスク管理にも問題があり、警戒すべき相手の中心選手のマークが甘くなってフリーにさせてしまいがちだ。今節で対戦するJ1の神戸を相手にそんな守備をしていたら、何失点すしてしまうかわからない。選手個々が1対1の局面で相手に全力で競り勝ちに行き、さらに声をかけ合って連係しながらも人任せにはしないで守ることが必要不可欠だ。天皇杯ではジャイアントキリングが起こるが、そういった試合ではカテゴリーが上のチームに対してひるむことなく必死に立ち向かう選手たちの姿が見られる。最後まで粘り強く、そして泥臭く体を張れるかが3回戦の勝利、そして今後の戦いにつながる。

神戸は6月6日開催の天皇杯3回戦で福岡県代表の福岡大学と対戦。三田啓貴、三原雅俊、ウェリントンのゴールで3-0と快勝。シュート数は神戸が14本で、福岡大学が4本という数字からもわかるように、ベストメンバーに近いスタメンで臨んだ神戸が終始主導権を握っての勝利だった。J1リーグ戦は第15節終了時点で6勝4分5敗、23得点(第15節終了時点でJ1リーグ最多得点)、17失点で6位につけている。そして、YBCルヴァンカップは鳥栖、湘南、長崎と同グループだったグループステージDグループで、3勝2分1敗の1位でプレーオフステージに進出。だが、そのプレーオフステージでは横浜Mと対戦して1分1敗と勝てずに敗退となってしまった。

J1リーグ戦の再開初戦となる第16節・長崎戦が天皇杯3回戦の1週間後の7月18日開催であり、直近の公式戦が6月9日のYBCルヴァンカップ プレーオフステージ第2節と1ヶ月前だった神戸は、選手個々の状態のチェックと試合勘を取り戻す意味合い、そしてチームとしての戦い方の再確認もあってベストメンバーで臨んでくるだろう。まだ開催中のワールドカップ ロシア大会に出場したイニエスタは出場できないが、5月上旬に負傷して欠場が続いていたルーカス  ポドルスキの状態はどうか、メンバー入りするのかは気になるところだ。また、J1リーグ戦再開前に小川慶治朗は湘南に、ハーフナー  マイクは仙台に期限付き移籍となっている。

一方、千葉はこの3回戦はJ2リーグ戦の第22節・大宮戦から中3日、そして第23節・金沢戦にも中3日という過密日程となる。前述の青森戦のような大幅なメンバー変更はないかもしれないが、猛暑続きということもあり、疲労の蓄積が激しい選手はスタメンから外れたり、さらに試合メンバーから外れたりということがあるだろう。天皇杯3回戦に向けた練習を筆者は体調不良のため取材に行けなかったが、7月5日の全体練習には姿が見られなかった佐藤勇人は全体練習に合流していたようだ。前述の大宮戦は前半のみで負傷交代となった矢田旭の状態も気になる中、ボランチを含め各ポジションのスタメンがどうなるのか注目だ。

神戸の2トップの渡邉千真とウェリントンはJ1リーグ戦でそれぞれ4得点をマーク。千葉はウェリントンとは彼が湘南や福岡に在籍していた時に対戦しており、そのポストプレーも脅威になることはよくわかっている。2-4と逆転負けした第22節・大宮戦の反省を生かし、神戸の2トップを自由にプレーさせないことが必要だ。そして、その2トップへのラストパスを簡単に出させないように、サイドの攻防も含めてプレッシャーをかけたい。また、千葉はセットプレーから直接の失点は少ないものの、こぼれ球への反応が遅れがちになることがある。福岡大学をはじめ過去に在籍してきたチームでプレースキッカーを務めてきた藤田直之のセットプレーは、ロングスローを含めてしっかり対応したい。

J2リーグ戦での戦いとは違って、千葉が対戦相手の神戸よりもボール保持率が上回る可能性は低い。それだけに隙なく守り、ボールを奪取したらカウンター攻撃できちんとフィニッシュに持っていきたい。それには、ここぞというところで前へ出て行く状況判断、ゴール前へ走るスピードに加えて、相手の守備状況や味方の動きからどのコースへ走るべきか賢く考え、実践することが重要だ。J2リーグでの戦いでも、千葉はコース取りのミスでカウンター攻撃のチャンスをシュートまで持って行けないことが少なくない。数少ないチャンスを確実にゴールに結びつけることが勝利につながる。

クラブの目標はJ1昇格とはいえ、天皇杯だからと言って負けていい試合は1つもない。J1クラブを相手に勝ちに行くことで、選手個々もチームとしても得られるものは多いはず。勝利という結果を求め、「収穫の多い一戦だった」と振り返られる試合にしてほしい。

reported by 赤沼圭子

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