今季の千葉はJ2降格後では最低の順位の9位でJ2リーグを終えた。その原因を『開幕4カ月点検』で振り返ったあとの7月(第21節)以降の戦いぶりやチームの動向を中心に探る。
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■選手を入れ替える策でも防げなかった失点
山口智を契約満了として、今季はキム ヒョヌンと大岩一貴の若いセンターバックコンビの成長と活躍に期待したコーチングスタッフとフロント。だが、パウリーニョ&佐藤勇人というダブルボランチのディフェンスラインの前のフィルターが、対戦相手の対策や佐藤勇の戦線離脱によって機能しなくなると、ディフェンスラインへの負担が増大した。前からの守備ではなく少し後ろ寄りに網を張って守ろうとしたが、守備の組織が完全に構築できていないこともあり、佐藤勇のスタメン復帰後も失点阻止が難しくなった。
関塚隆監督は雑なプレーが少し目立つ大岩に代えて第21節・岐阜戦から栗山直樹を起用。その岐阜戦は栗山が岐阜の難波宏明に競り負けて先に失点したが、町田也真人のJ初ゴールを含む3得点でシーズン初の逆転勝利を獲得した。だが、『人』を変えても問題の根本的解決とはならなかった。試合勘の問題や度重なる負傷もあって持ち味の粘り強さを少し失った栗山は、守備の立て直しの力とはなりえなかった。それもあって、関塚監督はセンターバックだけでなくGKも変えて失点阻止を試みた。第17節・札幌戦から岡本昌弘が起用されたが、結果が出たとはいえなかった。第24節・磐田戦で岡本がパンチングではなくキャッチングに行った先で磐田のジェイにヘディングシュートを打たれ、それが決勝ゴールとなると第25節・水戸戦からGKを高木に戻し、試行錯誤しているのがうかがえた。
既存の選手だけでは守備の立て直しが難しそうだと考えたクラブは、経験豊富な富澤清太郎を獲得し、富澤は第23節・群馬戦からセンターバックのスタメンとして出場した。しかし、シーズン途中の加入ということもあり、当初は彼と他の選手との連係面に問題も出た。第26節・熊本戦では前に出るのが持ち味の高木の不用意なポジショニングミスに加え、富澤との連係ミスもあってもったいない3失点を喫してしまった。富澤にはディフェンスリーダーとしてラインコントロールやコーチングで守備陣を牽引することも求められた。だが、『リスクに早く気づけるか』『気の利いたプレーができるか』『味方をうまくカバーできるか』という力が不足している選手が千葉に多く、それが向上しないままでは意思を統一した組織的な守備はできない。結局、この点での改善は最後までやりきれず、失点に直結するような選手個人のミスもなかなか減ることがなかった。シーズンの最後まで安定した守備が続くようなことはなく、失点の少なさではJ2リーグ13位という45失点だった。
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