衝撃的だったシーズン当初の極端なハイライン
2017年シーズンに新たに就任したフアン エスナイデル監督は、より高い位置でボールを奪い、そこからサイドに展開して素早くフィニッシュに持ちこむ戦い方を目指した。監督就任時から「今季はいろいろなシステムを試したい」と話していた監督だったが、例えばニューイヤーズカップでは初戦のFC琉球戦がダブルボランチで3トップの3-2-2-3(後半開始から8人交代で3-1-4-2)、第2戦の札幌戦はFC琉球戦の後半と同様にアンカー&インサイドハーフの3-1-4-2のシステム。2月11日のちばぎんカップの前々日の囲み取材で筆者が「昨季の千葉の課題の失点数を減少させるためにシステムを変えられたのか、それとも今、在籍している選手の特性を考えた時に3バックがいいと判断されたのか」と質問すると、監督の答えは次のようなものだった。
「選手の特徴を見て決めました。失点する、失点しないというのはディフェンスがいるから失点しないとかそういう問題ではないので。ちゃんとしっかりディフェンスができていれば別に問題じゃない。そういう意味で守備をよくするために、今はFWからしっかり守らせるということをやっています。彼らはファーストディフェンダーとして最初に守備のイニシアチブを持ってやる選手なので、そこに尽きます」
より高い位置でボールを奪うため、FWがファーストディフェンダーとなってプレスをかけに行くという守備は、シーズンインからの要求だった。そして、ニューイヤーズカップやちばぎんカップを通して目立ったのが、ディフェンスラインの位置の高さだった。相手のボールホルダーにプレッシャーをかけに行く前線の選手と連動し、全体をコンパクトにしてプレスをかけるため、時にはディフェンスラインがハーフウェイライン近くまで上がる。攻守が切り替わって相手の攻撃になってもラインをあまり下げないため、相手に厳しくプレスをかける守備もあって、今季の千葉の戦術は『ハイライン&ハイプレス』と呼ばれるようになった。
第1節・町田戦でのシステム&フォーメーション
だが、極端なハイラインではディフェンスラインの背後に大きなスペースができるぶん、そのスペースをカバーする役割を務めるGKは非常に大変だった。DFは相手がスペースを狙ってロングボールを蹴り、そこに味方を走らせる策を取るのに対し、ロングボールを蹴る瞬間を見計らってラインを上げてオフサイドを取ることを狙った。その効果で試合を通して10回以上もオフサイドを取った試合もあったが、ダイアゴナルランに合わせてタイミングよくパスを出され、ディフェンスラインの背後に相手の選手に飛び出されることも少なくなかった。その際にはGK(佐藤優也)がペナルティエリアの外に出て行き、ボールをキックやヘディング、時にはダイビングヘッドでクリア。相手の選手との接触プレーになりかねないシーンも多く、開幕戦の時点で町田のGKの高原寿康が「GKがファウルで退場することもあるんじゃないですか」というほどだった。
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